昭和40年頃、公園に出没した物売りをマーケッター目線で分析した結果、今でも使える要素が沢山あった

インチキ商材のローンチ

怪しい物売り

昭和37年に生まれてから、船橋市という千葉県では大きな町に住んでいました。

家の周りは、近くの工場労働者用の狭い住宅が並ぶ、東京の下町と似た、ごちゃごちゃとした環境で、お世辞にも良い育ちとは言えません。

それでも、公務員だった父親と、生保会社で経理の仕事をしていた母の稼ぎで、何とか祖父祖母、兄弟がお腹を空かせることもなく、暮らしていけました。

そんな折に、家の前の公園で物を売る人が定期的に訪れたのです。

娯楽の少ない時代なので、子供心にワクワクしていました。

しかし、親は「子供だまし」と決めつけ、決して買わせてくれませんでした。

欲しかったのは以下です。

・手品の道具

・カラーひよこ

・粘土の型と色の粉

・紙芝居屋さんの駄菓子

マーケッター目線で、これらを購入したかった理由を、掘り下げてみました。

 

 

・手品の道具売り

エンターテインメント+夢を叶える

これは自称「大手品師」の物売りのおっちゃんが、子供に手品を見せて、驚かせて、その後にその道具を売る手法でした。

子供心にこの道具を買って、手品を披露して、周囲の大人をびっくりさせたいと思いました。

これをビジネスに応用すると、まさに情報商材のプロダクトローンチですね!

手品師=ドヤ顔した販売者

手品道具=わけわからん情報商材やツール

じゃないですか!

でもこんなおっちゃんでも、マーケティングはしっかりやっていたのです。

・リサーチ

1週間以上前から、何曜日のどの時間帯に来れば、子供が多くいるかを探るべく、ちょこちょこ出没して、子供に質問していました。

 

・告知

「今日○時から、○○公園に天下の大手品師Xが、とても面白い手品を披露します!」と言って、公園の近くを声を張り上げて宣伝していました。

 

・ティザー(じらし)

何種類かの短い手品を見せて、子供たちをびっくりさせます。

「続きはまた○時からやるので、お父さんやお母さん、友達も連れて来てね!」

といって、観客に集客を依頼します。うまい手ですね。

また子供には購買力が無い事をリサーチ済なので、スポンサーを連れてくるように設計しているのです。

実にうまい設計ですね。

ローンチでは、ティザーという、正体を明かさずに、期待を高めて、視聴者をじらす手法が使われますが、まさにこれなのです。

映画の公開前の宣伝などもこの手法が多く使われますね!

 

・ローンチ(実演販売)

口上として、「大手品師Xは長年活動し、世界各国で公演をしています」

と言って、権威性、経歴をアピールします。

子供なら騙せますが、大人なら、何でそんなに偉い人がこんな公園でタダで手品を見せるのか、という疑問に気がつくと思うのですが。
しかも世界各国ってどの国なのかが不明瞭ですね。

 

その後皆が驚くような手品を何回か見せて、その間に、観客との信頼関係を築いていきます。

情報商材の場合は、長ったらしい動画を延々と見せて、茶番劇を見せて、視聴者を徐々に洗脳していくのです。

詐欺まがい商材を見分けるコツとして、販売者とされる人の経歴、収入、何で生計を立てているのか、評判(会ったことのある人からの情報)をネットと、実際の人脈を頼ってリサーチすれば、ほぼ100%見抜けます。

危ない商材の見分け方

・販売者がジャンルをころころ変える(物販→仮想通貨→FX)

・再現性の根拠が示されない

・返金保証が無い

・販売者会社が海外(日本の法律が適応されない)

 

 

・オファー(セールス)

手品師Xは、意外にも良心的で、無理に販売しませんでした。

「この手品の種明かしを知りたい人?」

と尋ねて、聞きたい人だけに

「実はこのような道具を使ってするんだよ」

とこっそりと教えていました。

これがスクリーニングと言って、必要な人だけを絞る事です。

これをオファー前に行うメリットとして、必要な人には提案しないので、間違って購入してトラブルになる危険を、ぐっと下げるのです。

その後

「今日はこれだけしかないので、早い者勝ちだよ」

と、希少性、限定性を強調して売るのです。

どうしても欲しい子は、親にねだるか、親を公園まで連れて来て買うのです。

しかし、幸か不幸か、我が家の近くの所得層では、高価な手品用品を買える子はいなかったので、大手品師Xは二度と来ませんでした。

 

 

・カラーひよこ

既存の商品に付加価値をつける

これは、もともと商品価値のない雄のひよこを、ペット用に販売していたものに、色を着けて付加価値をつけて販売したものです。

動物にとっては、商品にされることや、色を塗られることは甚だ迷惑ですから、残念なビジネスですね。

ひよこは寒くなると死んでしまうので、また運よく生き延びても、雄鶏になって鳴き声が迷惑になるので、住宅街では飼えません。

あなたが商品やサービスを作る際には、既存の商品を掛け合わせて、付加価値の高いものをご提案すれば、他との差別化ができるのです。

 

 

・粘土の型と色の粉

道具を売り、クロスセルする

 

恐らく、東北か北関東の人が、素焼きの型と、粘土状の田んぼの土のような物を数日間にわたって売っていました。

その土を型に入れて型から外すと、キャラクターなどが、立体でできてくるので、ワクワクしました。

しかもオプションとして、作ったものに色のついた粉や、きらきら光る特別な粉をつけると、見栄えが良くなりますので、皆競って作っていました。

マーケッター目線で考えると、型と粘土のセット販売(バンドル)に加えて、色の粉のクロスセル商品を同時に販売していました。

さらにポイント制にしており、数日間に優秀な作品を作ると、ポイントが貯まり、次回型が無料でもらえるようになっており、そのために、粘土や粉の消耗品が沢山売れました。

しかしポイントが貯まるか、溜まらないかのタイミングで、そのおっちゃんは姿を消して、二度と現れる事はありませんでした。

 

・紙芝居屋さんの駄菓子

購入者特典は特等席

自転車の後ろに、紙芝居を積んで、口上よろしく紙芝居を始めるのですが、紙芝居の前に、駄菓子を売るのです。

これは、映画を見るときにお菓子やジュースを買うような感覚ですが、紙芝居屋さんの主な収益は駄菓子の販売なので、これがメインの仕事になります。

 

例えて言うなら、民法のバラエティー番組は、広告枠のスポンサーのCMを流すのがメインで、番組はおまけなのと一緒です。

さて、駄菓子を購入した子供へのリターンは、一番前の特等席なのです!

買えなかった私は、美味しそうな駄菓子を食べている子供に気になって、後ろの方からこっそりと紙芝居を見ていました。

自己啓発系のセミナーでは、VIP席などを用意して、受けられるサービスに差をつけていますが、まさにこれは紙芝居屋さんと同じです。

VIP席の人は登壇者とより近くでお話を聴け、ランチ等でも一緒に時間を過ごせて、より親密度合いを深くできます。このような関係ができていると、バックエンド商品を売りやすくなるのですよ。

ちなみに登壇者との2ショットやランチだけでは、VIP席の高額料金は割に合いません。

私がメリットと感じたのは以下2点です。
・高額なチケットを買えるステータスの人と知り合える
・前を遮られず、ストレスなく聴ける

紙芝居屋さんに、百科事典などのバックエンド商品があったら、面白かったかもしれませんね。

いやいや実はバックエンド商品があったかもしれませんが、対象外の私にはオファーがありませんでした。

 

 

 

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